「子どもの野球離れ」保護者の重すぎる負担の深刻 全日本軟式野球連盟が運営の見直しを求める通知

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試合などの「遠征」に親が車を出すのは「当たり前」だ。家族のレジャーのために買ったミニバンがもっぱら「選手送迎車」になっていることも珍しくない。

画像はイメージ(写真:筆者撮影)

また試合後に監督やコーチの慰労会を催すこともあった。こちらはコロナ禍以降減っているようだが。さらに野球の経験があるなしにかかわらず、父親がコーチに駆り出されることもある。特に若い父親は断り切れない。

こうした中で持ち上がっているのが「親の負担の不公平」の問題だ。わが子に野球をさせるうえでは肩身の狭い思いをさせたくない。用具類は無理をしてでもそろえるが、共働き世帯が一般的になった昨今、親が子どもの練習や試合に付き合うことが実質的に不可能な家庭も多い。

一方で「一家を挙げての野球好き」の家庭では、総出で練習や試合に付き添うこともある。熱心な家庭からすれば「仕事」を理由に、チームへの協力を拒む家庭には不満が募る。

「チームを移りたい」という相談が増えてきた

全軟連の小林三郎専務理事は、通知を出した経緯をこう語った。

全軟連の小林三郎専務理事(写真:筆者撮影)

「少し前から『今、所属しているチームでは半ば強制的に親が駆り出される。可能であれば、もう少し緩いやり方をしているチームがあるので、そちらに移りたい』という相談が、都道府県支部に来ていました。

でも今の制度だと『チーム登録=選手登録』で、年度内にチームを代わることは認められない。もちろん引っ越しとか、パワハラ、暴言などがあった場合は認められることはありますが、監督の指導方針が合わないみたいなのは特別の理由にはならない。しかしそういう相談案件が、本当に増えてきました。

最近の親御さんは、いろんな仕事を持っておられるんですね。だから練習や試合に子どもを送迎したり、監督の身の回りの世話をしたり、これまでならごく普通にやってきたことが、今は難しくなった。新しく子どもをチームに入れた親御さんから『入ってみたらこんなことやらされた、こんなつもりじゃなかった』という声が出るようになったんです」

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