「何不自由なく育った少女」が道を踏み外した悲劇 はためには「穏やかで仕事熱心な両親」だが…
親が子どもに暴力を振るっているとか、ご飯を食べさせていないというわけではないので、周囲もなかなか介入ができません。
事例に出てきたリントは、こういうタイプの家庭で育ちました。たくましく生きてきたものの、やはり社会に適応するのが難しかったようです。リントがアヤノに近づいたのはお金のためです。自分の利益のために人にやさしく接しており、アヤノを本当に心配しているわけではありませんでした。やはり根本的な何かが欠けていると言わざるをえません。
なぜ子どもを愛せないのか?
アヤノの両親は、いわゆる「できちゃった婚」で結婚しました。夫婦ともに子どもを望んでいませんでしたが、予定外に妊娠したため、家族になることにしました。当初から子どもは「お荷物」だったのです。
一方、「授かり婚」は、妊娠発覚後に婚姻という順番は「できちゃった婚」と同じであるものの、子どもを持つことに同意があります。いつかは子どもがほしいと思ってはいます。子どもを希望しているのか、そうでないのか。これは大きな違いです。
もちろん、若い頃は子どもが苦手だと思っていても、実際に親になってみたら子どもがかわいくて仕方なくなる人が大半です。「私に子ども中心の生活ができるのだろうか」「虐待してしまったらどうしよう」と過剰に心配する必要はありません。たいていは何とかなります。
ただ、実際に子どもを持ってみても、心が動かない人が一定数いるのは確かです。理由の1つとして考えられるのは、やはり愛情を持って育てられてこなかったため、情緒的な関わりが難しいということでしょう。
「虐待の連鎖」が起こりやすいことはよく知られています。自分がされてきた子育てを自分の子にもするのは、それ以外のやり方がわからないからです。また、親自身が癒やされていない、回復できていないのも大きいと思います。家族だけで解決することは難しいので、専門機関のカウンセリングなどに頼る必要があります。
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