しつけの一環だとして子どもに必要以上に厳しく接し、それを虐待と思わない親。親から不必要な干渉を受け、言葉による虐待を受けたにもかかわらずそれを「よくある普通のこと」とする子ども……。
不思議なことに、家庭内で問題がある行為が常態化しているにもかかわらず、親も子どもも「虐待」と認識していないことが多い。それが、虐待を防げない、あるいは減らすことができない要因でもある。この問題は時間とともに根の深さが浮き彫りになる。
虐待を受けた人は、自分が「親から虐待されている」と思っていないから、今度は自分の子どもにも同じことをしてしまう。臨床心理学者であるリンジー・C・ギブソン氏は、著書『親といるとなぜか苦しい』でこの虐待の負の連鎖を止める方法を提起している。
親のネグレクトを認めない子どもは多い
親が精神的に未熟だと、その子どもは間違いなく精神的なネグレクトを経験する。こうした状況は往々にして、子ども自身には見えないし聞こえない。
むなしさは感じても、それをどう表現すればいいかわからない。精神的な孤独に苦しみながら成長し、何が問題なのかは理解できないままだ。精神的にゆとりがありそうな人たちとは「何かが違う」と感じるだけだ。
精神的なネグレクトについて何かしらの情報を読むまでは、自分がそれを経験してきたことに気づかない人は多い。そういう人が相談に来ても概して、自分がネグレクトされてきたとは認めないが、詳しく診察していくと、たいていは、子どものころにきちんと目をかけてもらえなかった記憶がよみがえってくる。
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