子どもに心理的な土台を提供できないばかりか、子どもの足を引っ張り、人生をめちゃくちゃにする「毒親」は少なくない。この言葉が一般的になって久しいが、問題は「親に十分に愛されて育っていない子どもたち」が、大人になってもかなわぬ夢をみていることにある。
毒親の問題がはたからみてわかりづらいのは、毒親本人も、またその子どもも「親がいつまでたっても精神的に未熟なままである」と思っていないことだ。
親自身は自分がひどいことをしていると思っていないし、子どものほうも「いつか親が心を入れ替えて、ありのままの自分をみてくれる」と期待している。そういういびつな関係が、この問題を複雑化させている。
アメリカでも毒親の問題は根深く、親と子のこじれた愛着をテーマとして扱った『親といるとなぜか苦しい:「親という呪い」から自由になる方法』という本が長らくベストセラーとなるほど。その著者であるリンジー・C・ギブソン氏は、精神的に未熟な親との関係に悩む人に、ムリのない接し方を同書で提案している。
完全無欠な親を求めるのは子どもの幻想
子どもにとって「親も過ちをおかす」と考えるのは難しい。思春期を迎え、成人して独立するころには、「親は全能だ」という考えも揺らぎはするだろうが、完全になくなることはない。
多くの子どもが、次のような考えを植えつけられている。
・親ならば必ず自分の子どもに愛情を抱く
・親は信用できる
・親はいつでも子どものためにそばにいてくれる
・親にならなんでも話せる
・たとえ何があろうと親は子どもを愛し続ける
・子どもにはいつでも帰れる場所がある
・親が望むのは子どもにとっていちばんいいことだけ
・親は、子どもよりも子どものことをよくわかっている
・親の行動はすべて、子どものためを思ってのもの
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