私の頭越しに孫を溺愛する母、悩む娘の最終決断 無神経な親と口論せずストレスなく付き合う法

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精神的に自由になる第一歩は、親の精神的な未熟さを見極めること。そして、親を喜ばせる役割としての自分を演じるのではなく、自分の心のままに行動することだ。親を変えることはできなくても、自分を守ることはできる。

精神的に未熟な人と付き合う際に、感情的に反応せず、おだやかに、分別を持って大局的にみていくことができれば、心が乱されることもないだろう。ゆったりと構え、距離を置いて観察しようという気持ちを持とう。

苦しいときは自分の感情を言葉にする

とにかく「距離を置くこと」。それから、意識して相手の様子を言葉にしてみる。黙って心の中で。相手を前にストレスを感じても、こうして胸の内で自分に語ることで、気持ちがおだやかになり、落ち着けるだろう。

ふさわしい言葉で表現することで、脳のエネルギーを感情的な反応からそらすことができる。同じことは、自分の感情的な反応をコントロールすることにも言える。自分の反応を胸の内で言葉にすることで、客観性が持て、冷静になれる。

相手にイライラさせられているなら、口実をつくって距離を置こう。トイレで休憩したり、ペットと遊んだり、散歩したり、用事をすませるのでもいい、とにかくその部屋から出ること。窓の外に広がる自然をみつめてもいい。

おわかりのように、観察は受動的なことではない。とても積極的な過程だ。精神的にからめとられないようにするための王道でもある。

親が境界線を尊重せず、ズカズカとプライバシーに踏み込んできたり、自分の解決できない問題を子どもに押しつけたり、子どものやることに口出ししすぎると、当然ながら真っ当なコミュニケーションも取れなければ、精神的な親密さもない。だれであれ真の自己も認められない。

しかし、つねに一歩引いたところから観察できるようにすれば、ほかの人の行動で傷つけられたり、精神的にからめとられたりすることもない。

リンジー・C・ギブソン 臨床心理学者

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Lindsay C. Gibson, PsyD

精神的に未熟な親のもとで育った人のセラピーをおこなう民間の病院に勤務。 親子の愛着に困難をかかえる人たちのサポートを精力的におこなっている。 女性誌に「幸福」についてのコラムを毎月寄稿し、過去に大学でも教鞭を執る。 著書『親といるとなぜか苦しい』はアメリカでの発売以来、版を重ね続けている大ベスト&ロングセラー。26カ国で翻訳出版され、「自分勝手で成長しない親」を持ったすべての人たちにとっての「回復の書」として熱烈な支持を集める。

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