身近な人に理不尽な怒りをぶつけてしまい後で後悔する……。そういった行動をくり返し、周囲を疲れさせていることはありませんか? 「持って生まれた性格、感情は自分の意のままにできないから仕方ない」と思ってやり過ごしがちな行動ですが、「自分の考え方をひもといていけば変われるのではないかと考えた」と、イラストエッセイスト・コラムニストの犬山紙子さんは言います。
前回の記事では、犬山さんの子育ての向き合い方を聞きました。ここからは『親といるとなぜか苦しい』(リンジー・C・ギブソン著)を読んで気づいた「自分や親を客観視することの大事さ」について語ってもらいました。
自分の気持ちにフタをして起こった悲劇
私は親の介護をしていた時期があります。仙台の大学を卒業後、仙台にある出版社で働き始めて2年目のことです。ほとんど車いす生活になった母を夜中に2、3度トイレに連れていく毎日に睡眠不足になり、自分の将来も不安になっておしつぶされそうになった時期がありました。それでも母が大好きだったから介護をしたかったんです。
母のためになることは喜びで、長年私を愛してくれた母に尽くすのはしたいことでもある。ですが遊びたい、思いっきり仕事をしたいという気持ちに自分でも気づかぬうちにどこかでフタをしていたのだと思います。自分の将来、キャリアはどうなるのか不安もありました。そういった過度なストレスに身を置き、知らぬまに自己犠牲がすぎる状態になってその苦しみを外に出そうとしていたのでしょう。当時お付き合いしていた男性に夜中に電話をして、なぜか怒っている自分がいました。弱音を吐いたり、甘えるのではなく、怒ってしまっている。相手には本当に申し訳ないことをしたと思っています。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら