このように、サウナ後の快感を助長するだけでなく、聞けばいいこと尽くめな「冷水浴」だが、実践にはリスクを踏まえたうえで注意すべき点もいくつかある。
まず、サウナ浴と冷水浴それぞれにメリットがあるとはいえ、それらを組み合わせて、間髪を入れずに「極端な温冷交代浴」を行うことが、必ずしも身体に良いとは言い切れない点だ。
『「最新医学エビデンス」と「最高の入浴法」がいっきにわかる!究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』で医学監修を務めた東フィンランド大学のヤリ・ラウッカネン教授も、短時間で極端な温度変化を身体にさらすことの健康効果とリスクは解明不十分なので、心血管系に持病がある人はもちろんのこと、健常な人でも十分に注意を払い、快楽を求めるあまり無理をしないことが肝要だと指摘する。
アイスホールスイミングを趣味とするフィンランド人の中には、そもそも先にサウナに入らず冷水に直行する人もいる。慣れていれば、必ずしも最初に身体を十分に温める必要はないということだ。
とはいえ、やはりある程度身体が温まってからのほうが冷水にも入りやすいのは確か。身体への負担を考慮するなら、サウナを出たあと、いったんシャワーを浴びて身体や心を落ち着かせてから入水するのもいいだろう。
冷水浴は、なにもサウナで我慢の限界になるまで身体を温めてからでなくとも、十分に爽快さを楽しめるのだから。
「手のひら」「足の裏」「耳たぶ」「頭部」を保護する
それから、疲労回復や健康増進の目的で長時間冷水に入るときには、手のひら、足の裏、耳たぶおよび頭部を保護することが、フィンランドでは推奨されている。
これらの部位は、とりわけ冷刺激に敏感で真っ先に痺れやすいので、手袋や防水ソックス、ニット帽などで予めカバーしておけば、誰でも水中で滞在できる時間がぐっと延びるのだ。
少なくとも、水中に身を沈めるときに、頭と両手首を水上に出しておくだけでも、随分冷静にいられる。
最後に、冷たい水中で興奮やパニックを起こさないよう、とにかく心を落ち着けてゆっくり入水し、水中でも過剰に身体を動かさず、息を整えようと努めることが最も大事だ。
サウナを出た直後は、つい気がはやって勢いよく水中に駆け込んだり、手足をバタつかせてはしゃいだりしがちだが、それによって発作やパニックが引き起こされては元も子もない。
冷水浴は、多大なメリットとリスクの紙一重の行為だからこそ、冷静さを失わずに恩恵を享受する姿勢を、忘れないでおこう。
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