ロシアの通貨ルーブルが急落。背景にあるのは、ウクライナ戦争後に起きた貿易構造の急激な変化だ。
ロシアの通貨ルーブルの相場が急落している。ロシア中央銀行によると、ルーブルの対ドルレートは、7月6日時点の終値で1ドル= 92.3ルーブルだった。今年最初の取引日となった1月10日時点では1ドル=70.3ルーブルであったから、この半年でルーブルの対米ドルレートは、3割近くも下落したことになる。
ウクライナ侵攻直前の昨年2月23日時点のルーブルの対ドルレートは、1ドル=80.4ルーブルであった。ウクライナ侵攻直後には1ドル=120ルーブルを超えるまで大暴落し、その後は50ルーブル近くまで「V字回復」したルーブル相場だが、結局はウクライナ侵攻前よりも安値圏にまで下落してしまった。
急速に縮小するロシアの貿易黒字
ではなぜルーブル相場の下落が止まらないかというと、その主因は、それまでルーブル相場を支えてきた貿易黒字が急速に縮小していることにあると考えられる。ロシアの貿易黒字は、ウクライナ侵攻直後の昨年4〜6月期には1000億ドルと歴史的な高水準まで拡大し、大暴落したルーブル相場の「V字回復」につながった。
しかし、このボーナスは長くは続かず、その後、貿易黒字は急速に萎むことになる。今年1〜3月期の貿易黒字は季節調整値で278億ドル程度まで縮小、これはコロナショックで各国経済が冷え込み、その結果、ロシアの貿易黒字が急減した2020年上半期の水準に等しい。これでは実需面からルーブル安圧力が生じても仕方がない。
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