エネルギー問題研究の世界的第一人者であるダニエル・ヤーギン氏(S&Pグローバル副会長)は3月初旬に東洋経済による取材で、ウクライナ戦争の歴史的意味や原油・天然ガス市場への影響などについて見解を述べた。
このとき、「われわれは今、1970年代の大規模なエネルギー危機を思い出させるようなディスラプションに向かっている可能性がある」と話していた(インタビューはこちら)。その後の状勢を踏まえて、ヤーギン氏に対して追加の質問を行い、回答を得た。
――原油価格(WTI原油先物)は3月初旬に一時130ドル台を付けた後、足元では100ドル前後で推移しています。今後についてはどう見ますか。
原油価格は非常に変動性が激しく、発生する事象によって動向が大きく左右されることになるだろう。ロシア産原油のヨーロッパへの輸入が禁止されれば価格は一段と上昇し、対応の難しい深刻な原油の不足が発生しかねない。また、ウクライナにおける戦闘がエスカレートすれば、それも原油価格を上昇させることになろう。
一方、中国における新型コロナウイルスの感染拡大と旅行・経済活動の減少による原油需要の落ち込みは、原油価格に対して多少の下方圧力を加える可能性がある。イラン核合意の修復によってイラン産原油が禁輸解除となりマーケットに供給されれば、やはり原油価格の下落要因となりうる。そしてもちろん、(アメリカ政府による)戦略石油備蓄の大規模放出も供給不足を部分的に緩和するのに役立つ。
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