世界第2位のガス生産大国ロシア。経済制裁はエネルギー市場にどのような影響を及ぼすのか。
――ウクライナに軍事侵攻したロシアに対し、欧米諸国や日本などが経済制裁を強めています。
当初はロシアの中位クラスの銀行や政府要人を標的にした制裁にとどまっていたが、欧米諸国や日本が協調してロシア中央銀行の資産を凍結し、同行とのすべての資金取引を禁じたことで、対ロシア投資を見直す動きも増え、経済制裁の威力は一段と高まった。
EU(ヨーロッパ連合)理事会は3月2日、国際的な金融情報サービスであるSWIFTからロシアの一部の銀行を排除する方針を決定したとの声明文を発表した。3月12日から実施される。ロシア第2位のロシア外国貿易銀行(VTB)、ロシア開発対外経済銀行(VEB)を含む7行が排除対象となった。
ロシア最大手のズベルバンクやガスプロムバンクは今回の対象からは除外されたものの、エネルギー貿易やエネルギー開発投融資に関わる大手国営銀行が対象となったことで、ロシアでビジネスを展開しようという投資する側の意欲を一段と削ぐだろう。
――エネルギー供給についても不安が拡大しています。
ロシアは原油・ガスともに生産で世界第2位の資源大国だが、とりわけ関係が深いのがヨーロッパ諸国だ。ヨーロッパはパイプラインガス供給の約4割をロシアからの供給に依存している。これに対してアメリカとロシア間でのエネルギーの取引は非常に少ない。日本のガス輸入に占めるロシア依存度も原油で3%、天然ガスで8%程度にとどまる(2020年度)。
ロシアとヨーロッパの取引の現状
――経済制裁を強めていった場合、報復措置としてロシアがヨーロッパへのエネルギー供給を停止させる可能性も指摘されています。
ロシアの全輸出の4割強を原油および石油製品、天然ガスが占めており、同国経済の根幹をなしている(2020年、ロシア中央銀行データ)。欧州のガス輸入におけるロシア依存度については、これまでの経緯や各国の事情などをわかったうえで議論する必要がある。
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