ロシア政府が「サハリン2」に強権を発動した真意 技術者と機器の不足でガス生産減退のリスクも

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ロシア政府がサハリンプロジェクトで打ち出した新方針。日本側は「ロシア政府がサハリンプロジェクトを接収するのではないか」との懸念の声があがっているが、真の狙いは別のところにある。

サハリン2で液化天然ガスを積み込むタンカー
サハリン2で液化天然ガスを積み込むタンカー(写真:AP/アフロ)

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ロシア政府は8月2日、日本企業が関与する液化天然ガス(LNG)事業「サハリン2」の権利・義務を移管するための新たなロシア法人の設立に関する政府令を発表し、5日には同法人設立の登記が確認された。
これらは6月30日の大統領令に基づくもので、サハリン2の権益を持つ三井物産や三菱商事などの外資系企業は、1カ月以内にロシア政府に対して新法人参画の意思の有無を通知しなければならない。他方、ロシア政府には外資が持つ権益の新法人への移行を拒否する権限があり、それが行使された場合にはロシア政府が外資の権益を接収することになる。
強権発動にも見えるロシア政府の真意は何か。日本の天然ガス調達で重要な役割を持つサハリン2の権益を守ることはできるのか。ロシアのエネルギー政策に詳しい、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の原田大輔・調査部調査課長に聞いた。

――ロシア政府の狙いはどこにあると考えられますか。

マスコミの一部にはロシア政府がサハリン2を接収してしまうのではないかとの見方もあるが、ロシア政府の狙いは別のところにあると考える。

エネルギー開発事業からの外資撤退の流れを止めたいというのがロシア政府の本音であり、そのための動きだと見ている。

――どういうことでしょうか。

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