装備品の補給や整備など兵站は十分でない。このままでは張り子の虎になる。
近年の戦争は、陸・海・空の通常兵器の戦闘だけでなくサイバー空間なども含めた「ハイブリッド戦争」の様相を呈している。これは平時と戦時の区別のない戦争である。目標を限定したハイブリッド戦争では、サイバー攻撃や電子戦、特殊作戦などにより作戦遂行は短期間に終了する。
各国は新たな戦争形態に適応できるよう、戦車、大砲など重戦力の削減を進める一方で、新たな戦い方のために兵器や装備品の開発を急いでいる。
今回のウクライナ戦争において軍事関係者にとって意外だったのは、ロシア軍の重戦力を重視した陸上での作戦に対し、ウクライナ軍の、訓練された小部隊を用いて敵の弱点を巧みに突く作戦が奏功していることである。ロシア軍の部隊同士の連携と兵站(へいたん)活動の悪さも相まって、ウクライナ軍の健闘が結果として目につく。
中国の軍事的脅威にさらされる日本にとってウクライナ戦争から導き出される教訓は何か。日本の自衛隊(とりわけ陸上自衛隊)は、どんな戦い方をすればよいのか。普通科連隊長や幕僚の経験などを基に考察したい。
兵站が作戦を規定する
ウクライナ戦争での何よりの教訓は兵站の重要性である。兵站は、兵器・装備品の補給や整備、負傷兵の後送・兵士の補充などのこと。訓練は決まった日数の下で、決まった補給品を使用して行われるが、実戦はいつまで続くかわからないうえ、戦闘状態によっては兵站量は膨大な規模になる。軍隊では兵站支援を行える範囲が戦闘可能な範囲といわれるほどで、部隊規模が大きくなればなるほど、兵站が作戦を規定する。
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