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台湾有事をどう考える?論客に聞く日本の備え方 2人の元政府高官よる、対照的な中国抑止論

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ともに官房副長官補を務めた論客2人が語る「安全保障と自衛隊のあり方」。

兼原信克(かねはら・のぶかつ)/同志社大学 特別客員教授。1959年生まれ。東大法卒、外務省入省。第2次安倍政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務め2019年に退官。(撮影:尾形文繁)

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台湾有事がリアルな問題として迫ってきている中、有事の際に中国を抑止できる体制にあるかどうかが最重要だ。

日本は1国だけでは絶対に中国に勝てない。米軍は巨大な軍隊とはいえ、欧州、中東、極東に勢力を分散している。つまりは緊密な日米同盟が不可欠で、米国政府は日本の防衛費増額を歓迎している。米国は応分の負担をしてほしいと考えていて、極論すれば「核兵器以外は何でもやってくれ」というのが本音だ。

今年5月、バイデン米大統領が台湾防衛のために軍事的関与を行うと発言したが、これはよかった。イエスと言わないと、中国に間違ったメッセージが伝わる懸念があった。

核抑止というが、抑止力は通常兵器から始まる。相手が一段上のことをやってきたら、それより一段上のことをできないと抑止にならない。最終局面で「核を使う」と言われ、「ノー」と押し返したいならば、相応の備えが必要だ。

核抑止を強めて多様な備えを

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