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「台湾有事」が今すぐには起きない軍事のリアル 米中の核戦略が均衡する30年後が正念場

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いま仕掛けても中国は負ける。カギは米中の核戦力が均衡する時期だ。

台湾海峡の中間線を越えた中国の爆撃機と監視する台湾機(写真:AFP PHOTO / Taiwan’s Defence Ministry)

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今回の参議院選挙では「台湾有事は日本有事」という言葉があちこちで聞かれた。中国が武力による併合を図った際に米軍が台湾防衛のため介入するなら、在日米軍基地も中国の攻撃対象になる可能性が高いからだ。

そうした事態が迫っている、とみる人は日本にも米国にもいる。中国の習近平国家主席は今年秋の共産党大会で党のトップとして異例の3期目に入ることが確実視されている。新しい任期が終わる2027年までに台湾併合の実績を上げたいはずだという観測は根強い。その工程表がロシアによるウクライナ侵攻に乗じて前倒しされるというわけだ。

もっとも、現段階で米国当局はそうはみていない。5月10日に米上院で証言に立ったヘインズ国家情報長官は「ウクライナ危機が台湾に対する中国の計画を加速させるとは評価していない」とコメント。ロシアの苦戦と国際的な孤立ぶりから、中国は軍事侵攻のコストの大きさと西側からの経済制裁のリスクを認識した、という。

蔡英文政権任期中の有事はありえない

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