巨大組織の上に立つ将官。選抜の仕組みは、陸海空のそれぞれの組織文化を反映している。
陸・海・空で、定員24万7000人を抱える巨大組織、自衛隊。日本の国防の要であり、危機に際し自衛隊が機能不全に陥れば、国家として残された選択肢はほとんどなくなる。
そのため原田智総・東京都危機管理監(元陸将・東北方面総監)など退役後に地方自治体で危機管理の重職に起用される幹部は多い。幹部自衛官には不測の事態にも動じない強い心身が求められる。そんな彼らはどのような教育を受け、どのような人物が重要なポストを任されるのだろうか。
幹部候補は大きく3種類
始めに幹部自衛官の教育について説明しよう。ここでは定員15万人を数える最大勢力・陸上自衛隊を中心に見ていく。
陸自で幹部を目指す者は、幹部候補生学校(福岡県久留米市)に入校する。幹部候補生は大きく3つに区分される。B(防衛大学校卒業者)、U(一般大学卒業者)、I(部内昇任)である。
1年の定員は500人前後。そのうち、BとUが320人(2022年度)で、まずBの枠が確保される。その年のBの候補者が200人だった場合には、Uから120人を採用する。そのためBとUの比率は年によって変動する。Iはいわゆる「たたき上げ」で、組織内で期待される役割がやや違うため今回は割愛する。
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