今の国際社会でロシア非難の論理が広く共有されているわけではない。その背景を解説する。
長期化するウクライナ戦争の見通しを語ることは今はだれにもできない。まして戦闘が終わった後のウクライナやロシア、そして世界がどう変貌するのかの予測はさらに難しい状況となっている。
ロシアによるウクライナ侵略を受けてアメリカ主導でロシアに対する非難、制裁の動きが活発になった3月ごろ、国際政治や安全保障の識者からは「壊れかかっていた米欧の同盟関係が修復し結束が強まった」「対ロ制裁のスピードも規模も過去に例を見ないもので、世界の一体感が広がっている」などと肯定的な評価が聞かれた。
そればかりか「プーチン大統領が象徴する強権主義、権威主義の実像が明らかになったことで、自由や民主主義の重要性が再認識され、劣勢だった民主主義が権威主義に対し優位に立っている」という意見さえ出ていた。しかし、こうした楽観論は戦争の長期化とともにほぼ姿を消した。
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ウクライナ戦争を機に米欧同盟が強化され、日本を含む西側諸国の結束が高まったことは間違いない。日本を含むG7(先進7カ国)、 NATO(北大西洋条約機構)、EU(欧州連合)に参加する大半の国がロシア非難と経済制裁、ウクライナに対する軍事支援で足並みをそろえ、その結果、ロシア軍が思うように侵攻できない状況を創り出している。
しかし、こうした動きが西側先進国以外の国にまで広がっているかといえば、現実は逆だ。
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