「エネルギー市場の混乱は 過去の石油危機を超える」 緊急インタビュー/S&Pグローバル 副会長 ダニエル・ヤーギン

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エネルギー問題の世界的権威は今回の事態をどうみているのか。

Daniel Yergin 1947年生まれ。米イェール大学卒業、英ケンブリッジ大学で博士号取得。エネルギー問題の権威として米エネルギー省長官の諮問委員会委員などを歴任。著書に『石油の世紀』など。(写真:S&Pグローバル)
ウクライナ戦争は原油価格を暴騰させるなどエネルギー市場と世界経済に莫大な影響を与えつつある。この戦争の歴史的な意味やエネルギー市場への影響などについて、エネルギー問題研究の第一人者で、国際的な情報分析会社S&Pグローバルの副会長を務めるダニエル・ヤーギン氏に聞いた。

ヤーギン氏は近著『The New Map:Energy, Climate,and the Clash of Nations』(邦訳版『新しい世界の資源地図 エネルギー・気候変動・国家の衝突』、小社刊)の中で、ロシアとウクライナをめぐる複雑な歴史や、今回の軍事侵攻につながるロシアのプーチン大統領の野心についても60ページ以上を割いて詳しく論述している。

──ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、歴史的・地政学的な意味をどのように捉えていますか。

今回の軍事侵攻はポスト冷戦時代を終結させるものであるとともに、地球上の平和とグローバリゼーションに対する重大な暴挙だ。これによってロシアは、深まりつつあった世界経済との融合の道が閉ざされる。そして、われわれはより危険な時代へ引き込まれることになる。

プーチンの怨念と執着

──近著の中で、プーチン大統領が旧ソビエト連邦諸国を再びロシアの支配下に置くという「壮大な事業」に取り組んできた経緯を取り上げています。今回の軍事侵攻の原因とプーチン氏の狙いをどう考えますか。

ウラジーミル・プーチンは東西冷戦の終結の仕方とソ連の崩壊を決して受け入れることはなかった。彼は怨念をしだいに募らせていくとともに、ロシアを再び超大国(great power)として復活させる野望を抱いてきた。そして、とりわけ(旧ソ連を構成する共和国の1つだった)ウクライナに執着した。ウクライナがほかの世界各国とのつながりを深めつつあったからだ。

私は近著でロシアの「新たな地図」について、ウクライナと天然ガス、そして中国に焦点を当てた。なぜなら、それらが極めて問題を爆発させやすい組み合わせだからだ。私がそこで書いたように、プーチンは一貫して、ウクライナは国家として存在しない(ロシアの一部)と主張し続けてきた。

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