トヨタ「1100万台」過去最高の生産計画に潜む死角 3度の下方修正で見えた部品会社とのすき間風
トヨタ自動車が部品会社に提示した2022年度の生産台数は過去最多の1100万台。下方修正を繰り返した昨年度の二の舞にならないか。部品会社からは心配の声が上がる。
今年度の世界生産は過去最高の約1100万台――。
トヨタ自動車が2022年1月に主要取引先に通達した2023年3月期の単体の世界生産計画。従来の過去最高である2017年3月期の約908万台を200万台上回る高い水準に波紋が広がっている。
コロナ禍と半導体不足との戦いが続く自動車業界にあって、世界首位を走るトヨタ自動車の生産計画は注目の的だ。需要やサプライチェーン(部品供給網)の状況まで正確に見通すトヨタの生産計画は、同社のみならず業界の動向を占う格好の指標でもある。
トヨタは通常3年分の生産計画を示しており、それを基に約6万社に及ぶ仕入先は設備投資や人員の計画を立てる。自動車業界では仕入先に対し1年分の生産計画を示すところがほとんどだ。また、その正確性もトヨタが群を抜く。
ところが、この過去最高となる生産計画に対し、部品を供給するサプライヤーから「到底達成できる水準ではない」「無理ゲー」との声が上がっている。あるサプライヤー幹部は「(コロナの影響がなかった)2019年の905万台から950万台の間が現実的」と指摘する。
前代未聞、3度もの下方修正
部品各社が冷めた視線を向けるのは、この半年間、トヨタが示す生産計画の急激な変更に何度も翻弄されてきたからだ。
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