4月5日、政府が全漁連への回答書で示した「超大型の基金創設」。それがいかなるものかをめぐり、政府と漁業関係者との間で早くも認識の食い違いが生じている。
東京電力・福島第一原子力発電所事故の処理をめぐり、政府と漁業関係者との間で新たな火種が生まれかけている。
萩生田光一経済産業相は4月5日、東京都内の全国漁業協同組合連合会(全漁連)の本部を訪れ、漁業関係者から昨年4月に示された5項目の要望に対しての政府の見解を示した。その内容が記された回答書で注目されているのが、「超大型の基金を創設する」というくだりだ。会談直後に、全国紙やテレビは「超大型の基金創設へ」と一斉に報じた。
ところが、超大型基金がいかなるものかをめぐり、政府と漁業関係者との間で早くも認識の食い違いが生じているのだ。
全漁連の認識を経産省が否定
政府の回答書では、「政府は、福島県並びに近隣被災県の漁業者、そして全国の漁業者が将来にわたり安心して漁業を継続するようにするため、超大型の基金を創設する」と明記されている。これを踏まえて全漁連の岸宏会長は、すでに予算措置されている風評被害対策のための総額300億円の基金とは「別の基金であると理解している」と、経産相との面談後に記者団に語った。
一方、経産省の原発事故対策の担当者は大きく異なる見解を示した。岸会長のぶら下がり会見と同じ4月5日の夕方、マスコミ向けにブリーフィングをした経産省の廃炉・汚染水対策官である大江健太郎氏は「現存する基金と別立てで新たに基金を創設することを約束したものではない。(創設すると明記した基金は)今ある基金のことを指している」という趣旨の発言をした。
そのうえで岸会長の「別立ての基金であると理解している」との発言について、大江対策官は「われわれの認識とは違う」と言い切った。全国紙やテレビは「新たに基金創設」といったニュースを伝えたが、これらの報道についても大江対策官は「そういう説明をしたとは思っていない」と述べている。
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