東京電力の旧経営陣に13兆円余の支払いを命じる画期的な判決が東京地裁でくだされた。原発事故の責任は旧経営陣にあることを示している。
東京地方裁判所は7月13日、原発事故を防ぐための対策を怠ったとして、勝俣恒久元会長ら東京電力の旧経営陣4人に対して総額13兆3210億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
東電の個人株主48人が起こしたこの株主代表訴訟の判決では、旧経営陣は全電源喪失に直結する津波の襲来を予見できたのにもかかわらず対策を怠り、炉心溶融事故を招いたとして東電に対する旧経営陣の損害賠償義務を認定した。株主代表訴訟で認められた金額としては過去最高額にのぼるとみられ、旧経営陣の罪を問う刑事裁判や国家賠償責任を問う裁判への影響にも関心が集まっている。
同株主代表訴訟で原告側の代理人を務める海渡雄一弁護士に、判決の意義と今後の展望について聞いた。
対策をとっていれば事故は防げた
――今回の判決をどう評価していますか。
総額13兆円という金額は、福島原発事故がいかに大きな被害をもたらしたかを示している。東電の旧経営陣が対策をきちんと取っていれば事故を防ぐことができたということを判決文は明示している。端的に言えば、福島原発事故が「人災」であるということを明らかにした。いちばんの意義はここにある。
――判決文は、原発事故はひとたび起きると「地域の社会的・経済的コミュニティの崩壊ないし喪失を生じさせる」と述べています。
裁判官は福島第一原発に自ら足を運んだ。原発事故から10年が経つ中で現地がどのような実態であるかについて、私たち弁護団は福島第一原発の会議室でプレゼンテーション資料を用いて説明した。
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