原発事故の賠償基準「9年ぶり見直し」で異議噴出 被害実態の検証が不十分だと被害者らが批判

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原賠審が12月10日に公表した改定指針の素案(編集部撮影)

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政府の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が示した東京電力・福島第一原子力発電所事故に関する賠償基準「中間指針」の改定案をめぐり、被害に遭った住民や訴訟の原告弁護団などから、「改定案の内容には被害の実態がきちんと反映されていない」「被害者の意見聴取が不十分だ」といった批判の声が上がっている。

指針の改定により、原発からの距離が近く、国の避難指示が出た区域に居住していた被害者には「生活基盤変容」など新たな損害が認められて賠償額の上積みが実現する。その一方で、区域外の住民への上積み額は少額またはゼロにとどまる見通しだ。

改定される指針には、新たに「損害額の目安は賠償の上限ではない」といった記述が加わるが、東電がその趣旨を尊重して柔軟に被害者の請求内容を認めるとは限らない。被害者の納得を十分に得られないまま、原賠審は12月20日に開催される次回会合で中間指針の改定を正式に決定する。

判決の確定を踏まえてようやく改定へ

文部科学省が事務局を務める原賠審は2022年4月に賠償指針の改定作業に着手した。3月に最高裁が東電の上告を退け、東電の賠償責任を認めた7つの高裁判決が確定したことを踏まえてのことだ。指針の改定は2013年12月以来の9年ぶりとなる。

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