原発訴訟、国の責任認めぬ「最高裁判決」の問題点 30ページに及ぶ反対意見が後続裁判の拠り所に

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福島原発事故について国の責任を問うた訴訟で、最高裁判所が国の法的責任を否定する判決を出した。訴訟に関わった原告側の弁護士に訴訟の意義を聞いた。

最高裁に入廷する4訴訟の原告と弁護団(記者撮影)

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福島原発事故について国の法的責任を問うた4つの裁判(1審は福島、前橋、千葉、松山の各地方裁判所で争われた)で、最高裁判所は6月17日、国の法的責任を否定する判決を出した。
しかし、判決では事故防止に有効な対策の有無をめぐり、4人の裁判官の判断は分かれ、原告の主張をほぼ認める少数意見もあった。
4つの裁判のうち、原告総数約3650人と最大規模の「生業訴訟」(1審は福島地裁)で、弁護団事務局長を務める馬奈木厳太郎弁護士に今回の最高裁判決を振り返ってもらった。

思いもよらぬ「肩すかし判決」

――最高裁判決をどう受け止めていますか。

一言で言えば「肩すかし判決」だ。原告が求めた原発事故の予見可能性について判断をせず、東日本大震災級の津波が来れば、取ったであろう対策によっても事故は防げなかったという、結論ありきの判決だ。

しかも、その論証の仕方は仮定に仮定を重ねたもので、その結果として国に法的責任なしと判断するという、きわめてずさんな内容だ。まさかこのような判決が出るとは思いもよらなかった。

――「生業訴訟」はどのような主張を展開し、これまでにどのような成果を勝ち取ってきたのでしょうか。

生業訴訟には第一陣だけで原告の総数が約3650人にのぼり、全国で提起されている約30にのぼる集団訴訟の中で最大の規模だ。

福島原発事故における国と東京電力の責任を問うた本訴訟では、(1)原発の敷地高さである海抜10メートルを超える津波を予見できなかったのか、(2)津波による浸水の結果としての全電源喪失および過酷事故を防ぐことはできなかったのか、について争ってきた。

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