首都圏の停電回避、原発再稼働は解決策ではない 住宅断熱化などの省エネ強化が即効薬になる

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首都圏の電力需給逼迫を機に原発を再稼働せよ、という声があがっている。しかし、京都大学大学院の安田陽特任教授は「原発再稼働は問題の根本的な解決にならない」と主張する。

突然の寒波と地震による火力発電所の運転停止などに追い込まれた東京電力(撮影:今井康一)
首都圏では3月22日、季節外れの寒波が襲来し、広範囲で停電が起きる一歩手前まで電力需給が逼迫した。
これを機に、「原子力発電所を早期に再稼働させるべきだ」「再生可能エネルギーは当てにならない」といった声が経済界やネット上などであがっている。しかし、今回需給逼迫が発生した要因や対策のあり方については、必ずしも十分な検証がなされていない。
原発を早期に再稼働させるべきなのか。また、再エネ比率を高めることはリスクなのか。電力システムに詳しい京都大学大学院の安田陽特任教授に聞いた。

原発で停電に備えるのは割に合わない

――3月22日の需給逼迫の原因や対策をめぐる多くの議論について「的外れだ」と批判しておられますね。

3月22日には、突然の寒波と3月16日に発生した地震による火力発電所の運転停止・出力低下という2つの事象が重なった。この2つの事象が同時発生するということは「稀頻度事象」(滅多に起きない事例)とみなすことができ、これを事前に想定することは難しく、そのリスクをゼロにするには膨大なコストを必要とする。

今回のような事象を回避するために、原発や火力発電所を多めに建設して備えておくのは経済的に割が合わない。3月22日のような停電や需給逼迫を防ぐには需要側の対策が必要であり、企業や家庭などに節電協力を求めるしかなかった。

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