「路上ライブを公認!」"柏ルール"に学ぶ3つの視点 「路上ライブの聖地」と呼ばれた場所の取り組み

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ちょうどコロナ禍で路上飲みが話題となったが、これも度を越えれば占用となる。

歩道のわきでお茶を片手に2~3人が数十分、立ち話をしていればこれは一時利用として当然、何もとがめられることはないだろう。井戸端会議を1時間してしまったというのはよくあることだ。

だが、ダブルデッキのベンチ付近で複数名で酒盛りをはじめ数時間ほどそこで宴会を行えば、これは明らかな迷惑行為となる。仮に酒でなくとも占用しているし、長時間であるほど通行人の不快さはつのるだろう。

アンプ、マイクスタンド、ギターケース、さらにはその周辺では撮影のための三脚などが置かれ、場合によってはCDなどを販売するケースもある。こうなってくるともはや、一時的な道路利用ではなく占用である。

また演奏時間は、雨が降ったり体調が悪いなどのことがなければ、5~10分程度で切り上げるミュージシャンもそういないだろう。「柏ルール」では演奏時間30分をひとつの目安としている。

「販売」という観点では、ミュージシャンが自主制作のCDやワンマンライブのチケットを売ったりする場合は、無許可の露店営業に該当するので、こちらも禁止となる。

音量要件のみに着目されがちだが、必ず「音量+占用」というセット要件で路上ライブが迷惑なものかどうかがみなされていると五十嵐氏は話す。

③技量要件

そして3つ目は、あまり論じられていないであろう「技量要件」である。

これは路上ライブを行うミュージシャンの技量がどのくらいのレベルにあるかということだ。端的にいえば、路上ライブは「楽器の練習の場」ではないということである。

たとえば、多くの家族連れや人々が安らぐ広場でギターをアンプにつなぎ、曲ではなくずっとコード練習をされたら、どう感じるだろうか。

初心者なのか音は飛び、しょっちゅう間違える。はっきりいって聞こえる範囲にいる人は不快に思うだろう。それは音楽ではなく、もはや騒音だ。

もちろん、演奏者に「頑張ってるね」という応援する気持ちもある人はいるだろうが、ほとんど人は快く思わないだろう。

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