「路上ライブを公認!」"柏ルール"に学ぶ3つの視点 「路上ライブの聖地」と呼ばれた場所の取り組み

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この柏独自のルールが作られたのが2005年。それまでいわば無秩序に行われてきた路上ライブにルールを設け、問題を解消しようとできたルールである。

サムシングエルスからナオト・インティライミまで

ここで少し柏の路上ライブの歴史を振り返ってみたい。この柏の路上を一躍有名にしたのが「サムシングエルス」の存在であろう。

1990年代、柏を中心に活動し「ラストチャンス」が大ヒットし、人気ミュージシャンとなった。

90年代初頭、駅前には多くの人たちが路上ライブを見に集まっていた(写真:柏市中心市街地整備課提供)

また2000年代にはナオト・インティライミも柏で路上ライブを行い、その後ブレイクを果たしている。

全国区のミュージシャンが誕生し、柏は「路上ライブの聖地」となった。そして、多くの若手ミュージシャンがこの地で路上ライブを行うようになったという流れがある。

「柏での路上ライブがとくに大きな問題となったのは、2000年代初頭です。ダブルデッキでは多くのミュージシャンが集まっていたため、持ち込みのアンプからとにかく大きな音を出して、隣には負けないようにする、ある種の音量合戦のようになっていました」

駅の利用者はもちろん、近隣の店舗、住人からも苦情が入るなど問題となっていた。そこで、柏市とストブレが問題対策に乗り込みできたのが、この「柏ルール」である。

路上ライブを構成する「3つのポイント」

柏ルールの大きな特徴をあげると「登録制」「アンプの使用禁止」「指定区画のみ演奏可能」「活動時間厳守」といったものがある。

そのうえで、柏の路上ライブではどういったことに気をつけて構成されているだろうか。

長年にわたって路上ライブを検証し、関係諸機関・周辺商業者との調整をしてきた五十嵐氏によれば、路上ライブが地域に受け入れられるかどうかのポイントは下記の3要件に集約される。

①音量要件
②占用面積要件(販売の問題を含む)
③技量要件

このうち①と②を念頭に置いて「柏ルール」は構成されているが、加えて、ルールには明示できていない、もうひとつの重要な要件もある。柏に限らず、どれも路上ライブを円滑に行う要件となるので、ひとつずつみていこう。

路上ライブの何が問題であるかもこれによりはっきりする。なお「柏ルール」の詳細に関してはホームページに記載されているのでそちらをご参照いただきたい。

駅前に掲げられた「柏ルール」の看板(写真:松原大輔)
次ページ「3要件」の具体的中身は?
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