つるかめ算、学んでも無駄と思う大人が知らぬ本質 実はさまざまな「ものの見方」がつまっている
「中学入試の算数には、さまざまなものの見方、数学的発想が磨けるような良問が数多くある」と語るのが、東京大学、JAXA出身で数学オリンピック出場経験もある永野数学塾塾長の永野裕之氏です。新著『おとなのための「中学受験算数」 問題解決力を最速で身につける』を上梓した永野氏が、つるかめ算などの「特殊算」を学ぶ意味について解説します。
方程式を立てれば解けるから無駄?
中学入試の算数には、つるかめ算、過不足算、差集め算、仕事算、ニュートン算、時計算、通過算、流水算……などたくさんのいわゆる「特殊算」が登場します。
「特殊算? そんなもの知らなくても方程式を立てれば解けるのだから、わざわざ勉強する意味なんてあるの? 無駄に中学入試を難しくするためにあるんでしょ?」という意見を聞くことがあります。
確かに、特殊算の基本的な問題は、未知数をxとおいて方程式を立てればだいたい解けます。しかし、私は小学生が特殊算を学ぶ意味がないとは思いません。なぜなら特殊算にはさまざまなものの見方、数学的な発想がつまっているからです。
例えば、最も有名な特殊算である「つるかめ算」には、極端な例を考えてみるという思考実験、差を考えるという相対化の力などが求められています。また、同じ考え方を広く使うためには、共通の構造を見つけるという抽象化の力が必要ですし、別解としての図解を考える中で視覚化の力をも磨くことができるでしょう。
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