小学生時に「読解力」の決定的な差が生じる理由

その基礎・基本は学校の授業では教わらない

語彙の格差は学校教育ではなかなか埋まらない(写真:mits / PIXTA)

以前ご紹介したことのある『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子 著、東洋経済新報社)の中で著者は、「AIにできない仕事」をする能力、すなわち「読解力」を基盤とするコミュニケーション能力や理解力がない層が増えていることを指摘した。

しかも問題は、中高生などの子どもたちだけにあるわけではなかった。独自に開発した「リーディングスキルテスト(RST)による調査の結果、大人にとってもまた、文章を正確に理解することは難しいことがわかったというのだ。

AIの弱点を突くつもり、人間のAIに対する優位性を明らかにするつもりだったRSTが、逆に、人間の読めなさ加減を白日の下に晒すことになったのは皮肉なことです。ただ、「意味を理解しながら読めているかどうか」を測る一つの指標となるテストを発明できたわけです。(29ページより)

だとすれば人間は、AIが苦手とする読解力を身に付ける必要があるということになる。では、そのためにはどうすべきか。それが、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の続編である最新刊『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社)のテーマだ。

正しく読むために必要なこと

ところで、当たり前すぎて考える機会は少ないかもしれないが、そもそも「読める」とはどういうことなのだろう? こう聞かれてすぐに思いつくのは、ひらがな・カタカナ・基本的な漢字を「文字として読める」こと(識字)ではないだろうか。

日本は200年前から、際立って識字率が高い国だった。当時、世界最大級の商業都市であった江戸においては、「読み書きそろばん」が就職や出世に有利で、そして寺子屋も普及していたからだ。

つまりわれわれ日本人は、長きにわたって文字に親しんできたことになる。とはいえ字が読めるだけでは、文章を「読める」ことにはならない。

「読める」ようになるため、識字に加えて必要となってくるのは「語彙」だ。そこで、「語彙ってなんだろう」「語彙ってどうやって身に付ければよいのだろう」ということを考えるため、次ページの例文が引き合いに出されている。

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