小学生時に「読解力」の決定的な差が生じる理由 その基礎・基本は学校の授業では教わらない
以前ご紹介したことのある『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子 著、東洋経済新報社)の中で著者は、「AIにできない仕事」をする能力、すなわち「読解力」を基盤とするコミュニケーション能力や理解力がない層が増えていることを指摘した。
しかも問題は、中高生などの子どもたちだけにあるわけではなかった。独自に開発した「リーディングスキルテスト(RST)による調査の結果、大人にとってもまた、文章を正確に理解することは難しいことがわかったというのだ。
だとすれば人間は、AIが苦手とする読解力を身に付ける必要があるということになる。では、そのためにはどうすべきか。それが、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の続編である最新刊『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社)のテーマだ。
正しく読むために必要なこと
ところで、当たり前すぎて考える機会は少ないかもしれないが、そもそも「読める」とはどういうことなのだろう? こう聞かれてすぐに思いつくのは、ひらがな・カタカナ・基本的な漢字を「文字として読める」こと(識字)ではないだろうか。
日本は200年前から、際立って識字率が高い国だった。当時、世界最大級の商業都市であった江戸においては、「読み書きそろばん」が就職や出世に有利で、そして寺子屋も普及していたからだ。
つまりわれわれ日本人は、長きにわたって文字に親しんできたことになる。とはいえ字が読めるだけでは、文章を「読める」ことにはならない。
「読める」ようになるため、識字に加えて必要となってくるのは「語彙」だ。そこで、「語彙ってなんだろう」「語彙ってどうやって身に付ければよいのだろう」ということを考えるため、次ページの例文が引き合いに出されている。
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