小学生時に「読解力」の決定的な差が生じる理由 その基礎・基本は学校の授業では教わらない

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その場合、AI読みをする人には「手がかりになるキーワードが少なすぎる」から「読めない」のかもしれない。そのことを言い表すのが、次の一文だ。

誰もが、誰かをねたんでいる。(41ページより)

これ以上やさしくしようがないほど単純で、誰もが理解できるはずの文である。では、この文を、意味を変えずに自然な「受け身形」にするとどうなるだろう?

誰もが、誰かからねたまれている。(41ページより)

「逆もまた真なり」ではない

多くの人はこの文を思い浮かべるかもしれないが、「誰もが、誰かをねたんでいる」と同義になる(自然な)受動態文は「ない」が正解。それは、A、B、C、D、Eの5人の世界を図にしてみるとわかりやすい。「誰が誰をねたんでいるか」を矢印で表したものだ。(なお、外部配信先では図を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

(出所)『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社)

例えば、AさんとEさんはBさんをねたんでいる。Cさんは、DさんとEさんをねたんでいる。同じくBさんはCさんを、DさんはEさんをねたんでいる。これが、「誰もが、誰かをねたんでいる」状況の例である。

では、この例において「誰もが、誰かからねたまれている」のかといえば、答えはNO。なぜならAさんは、誰からもねたまれていないからだ。したがって、「誰もが、誰かをねたんでいる」と「誰もが、誰かからねたまれている」は同義でないのである。

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