小学生時に「読解力」の決定的な差が生じる理由 その基礎・基本は学校の授業では教わらない

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しかも不自由なく文章を読むことができるようになるためには、字が読め、十分な語彙量があるだけではまだ不十分だ。

そのことを科学的な形で示したのが、RSTだと私は考えています。もちろん、これまでの国語教育で重視されてきた文脈や行間や、その文章が書かれた背景を知ることも、文章をより深く理解する上では必要でしょう。ですが行間をくみ取る前に、「行中」を読めるようになるためには必ずできなければならないことがある。それが、文の作り(構文)を正しく把握したり、「と」「に」「のとき」「ならば」「だけ」など、機能語と呼ばれている語を正しく使えるようになることなのです。(36ページより)

日本で育った日本人は、小学1、2年で(読み障害がなければ)ほぼ全員が簡単な字の読み書きはできるようになる。小学生は発達にかなりの差があるが、だいたい2年生の後半から3年生にかけて歩調はそろってくる。

むしろ心配すべきは、家庭環境や地域によって語彙量に相当の差があること。さらに小学3、4年生あたりで、本や教科書の読み方、板書の読み方に決定的な差が生まれる。それは、機能語の部分を正確に読む子と、そうでない子の差だ。

機能語を正確に読みこなせないと、教科書を読んでもぼんやりとしか意味を理解できないので、暗記やドリルに頼るようになる。意味を理解しない暗記でも小テストや中間テストなどを切り抜けることは不可能ではないため、その成功体験とともに彼らは中学に進学する。

「AI読み」ではAI人材になれない

そういう生徒は、例えば歴史の教科書を読むときに、キーワードの群――AI用語では「bag of words(言葉がバラバラに放り込まれた袋)」――として捉えようとします。例えば、「徳川家光、参勤交代、武家諸法度、鎖国」のように。私は、この読み方を「AI読み」と読んでいます。AIがまさにそのように読む特性があるからです。(39ページより)

AI読みでも、定型的なストーリーなら、それなりに追うことができるだろう。ただしAI 読みでは、新しい知識を得るための文章(代表例が教科書)を正確に読むことは難しい。ましてや学年が上がり、内容が抽象的になるほど困難になるわけだ。

そうなると、キーワードの暗記以外の試験対策はできなくなる。「一晩で暗記して、テストでパッと吐き出し、翌日はすっかり忘れる」という勉強法でも社会や理科の中間テストは乗り切れてしまうかもしれない。しかし、教科書に出てくる語彙が限られている数学の場合は、そうもいかない。

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