「姉が通っていた東京の私立大学は奨学金制度が充実していて、それを見て『なるほど。そういう大学もあるのか』と、自分でも調べるようになりました」
「姉の存在」が大学進学に影響
この連載のインタビューは「奨学金を借りた理由を一言でいうと?」という、質問から始まる。これまで見てきた通り、多くの取材相手が「実家が貧乏だったから」と答えているが、今回話を聞いた東北地方出身の小川智夏さん(仮名・32歳)は貧乏に加え、2歳上の「姉の存在」を挙げた。
「わたしは3人きょうだいの真ん中で、実家は農家で常にお金がありませんでした。そんな中、2歳上の成績優秀な姉は、応募要件は厳しいものの返済不要な給付型奨学金をもらいつつ、第一種奨学金(無利子)を借りていたんです」
そんな勉強タイプの姉と異なり、小川さんはバリバリの体育系。高校はスポーツ推薦で入学するほど、部活に明け暮れていた。
「スポーツ科ではなく、県立高校の普通科で、わざわざ寮にも入っていたのですが、結局3年間でインターハイは一度も行けず、いつも県内のベスト4止まり……。
わたしはスタメンから落ちることもあったので、大学もスポーツ推薦は望めません。先輩たちは高卒で自衛隊に入ったり、体育大学に進んで体育教師か警察官になる人が多かったのですが、別にそういう職業に就きたかったわけでもないので、普通に勉強をがんばって高校卒業後は大学に進学しようと思いました」
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