鉄緑会はすさまじい課題量を課す予備校で、1週間のうち2日間フルで時間をかけないと課題が終わらない人もいるほどでした。そこに通っていても当初は学校で1位になれず、また「周囲に成績で負けても仕方ない」とも思っていたそうです。
「中学に入ったばかりのころは、学年で188人中7番くらいの成績でした。学力は伸びましたが、勉強が嫌になり始めて、気持ちが入っていなかったんです」
そんなもごさんを勉強に目覚めさせたのが、動画投稿サイト「ニコニコ動画」に上がっていた東大の文化祭の映像だったそうです。
「当時、『東方』というコンテンツにはまっていたのですが、東大のダンスサークルの人が作品のキャラクターのコスプレをして踊っていたんです。東大生って、ほかの人が見たらオタクだって言われることを真剣にやるんだ!と思って、憧れができて勉強がしたくなったのです」
こうしてもごさんは受験勉強に打ち込み始めたのですが、それでも勉強が好きになれません。そこで、ある工夫をして乗り越えました。勉強を「問題を解くたびにレベルが上がるRPG」と、好きなゲームのように考えたのです。
「人間が物事を好きになるかどうかは、自分が成長できていると思えるかどうかが大事です。中3のときに、勉強することで強くなろうとするのではなくて、成長している、と実感できるようになろうと思い、夜中まで勉強を楽しむようになりました」
その結果、中3で成績が学年トップになったもごさん。最後の全国模試では英語が全国1位、総合で10位という好成績を収めました。
母のがんが発覚し、医学部を目指す
高校1年生になった彼は、ここで志望校に京都大学医学部を設定します。
「もともとは東大の文科I類が第一志望でしたが、母親ががんになったのです。命に別状はなかったのですが、膵臓と胆嚢と肝臓を半分、胃の4分の1を摘出する大手術をして、毎日とてもつらそうにしていました。だから、手術以外でがんを治せるようにしたいと思って、医学の研究をしている京大医学部に進路を変更しました」
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