「成長志向はコスパが悪い」若者が"高みを目指さない"ことを正解にしてしまった日本社会の歪み

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若者たち
若者たちは安定を求め、そこそこ幸せ。でも、若い世代の多くが安定を求めて高みを目指さないなら、日本経済全体は衰退していきます(写真:kou/PIXTA)
「自分が努力するなら日本が衰退したほうがいい」——。そんな若者の本音が明かされた金沢大学金間大介氏による新著『無敵化する若者たち』が話題となっている。
過保護な家庭や旧態依然とした組織が、若者の挑戦意欲を削ぎ落としている側面は否定できない。日本を覆う「横並びの安心感」の先に何があるのか。家族社会学者の第一人者である山田昌弘氏が、日本社会が抱える構造の歪みを鋭く斬る。

パターナリズムが蔓延する日本社会

—『無敵化する若者たち』では、若者たちが自信のなさや将来的な不安を抱えているにもかかわらず、彼らの幸福度が高いことを紹介しています。山田先生はこの点についてどうお考えになりますか。

無敵化する若者たち
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山田 金間先生が独自にリサーチした「若者の5年後の幸福度調査」は、非常に面白い。若者たちが現状の自分を肯定的に受け入れている、すなわち「自己評価が高い」という指摘は、そのとおりだと思います。自分でできる範囲を自ら定め、高みを目指すことはしない。でも、それも含めて自分を肯定している。

日本人には、人目を気にしすぎたり、仲間はずれにされたくないといった心理的側面があります。いわゆる横並び志向、安定志向です。金間先生が言うところの「いい子症候群」ですね。社会学者の観点から言うと、今の日本のシステムでは、そうした安定志向が一番コスパよく幸せになれるんです。若者たちは安定を求め、そこそこ幸せ。でも、若い世代の多くが安定を求めて高みを目指さないなら、日本経済全体は衰退していきます。

金間先生の調査にも、「今後の日本の将来について」の問いがありました。「頑張るくらいなら、日本経済がこのまま衰退してもいい」と答えた若者が6割。これは非常に興味深い結果です。頑張って日本を活性化させるよりは、別に衰退しても構わないと思っている若者が多いということですよね。

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