「熱意あふれるES」「高い授業出席率」…意欲を感じさせる若者の行動に隠された真逆のホンネ。Z世代が「穏やかでのんびりした先生」を好む理由とは

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若い女性
近年は安定志向で「いい子症候群」の若者が増えているといいます(写真:Graphs/PIXTA)
安定志向が強い、仕事に対する熱意や欲求がない、努力を避ける……。そんな現代の若者の姿を浮き彫りにした1冊『無敵化する若者たち』は、教育現場やビジネスシーンで多くの共感を呼んでいる。
著者の金間大介氏が提唱する「いい子症候群」という概念に対し、長年若者を見つめ続けてきた中央大学教授・山田昌弘氏は何を思うのか。40年の教員生活で目撃してきた学生たちの変容と、その背景にある社会構造の歪みを語った。

やる気を演じるすべに長けた若者たち

無敵化する若者たち
『無敵化する若者たち』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

—ここ最近の若者について、先生はどのようにご覧になっていますか。

山田 私は大学の教員として40年以上教鞭を取ってきましたが、『無敵化する若者たち』で描かれている若者のエピソードはまさに「あるある」ですね。金間先生が指摘されているように、安定志向で「いい子症候群」の若者が増えてきました。彼らは、見かけ上ではやる気があるように見えますが、実際の行動は極めて保守的です。

私はほぼ毎年、1年生の授業で「海外に出たいですか」という質問をしています。旅行ではなく、留学などで海外に住んでみたいかどうか。20年ほど前までは、何らかの形で海外に行き、生活してみたいという人は約半数いました。ところが今は1割にも届きません。

もちろん半年間留学すれば、卒業は1年遅れます。円安により海外での生活費は数年前に比べて倍になりましたから、経済的な事情も大きく影響しているでしょう。留学そのもののコスパが悪くなっているのは事実です。大学の授業料を1年分余計に払って、さらに海外での生活費を出すくらいのお金があるなら、国内でもっと良い体験ができるだろう。そうした内向き志向は、ますます強まってきたように感じます。

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