ダメ上司は「会議10分遅刻」の損失を知らなすぎる 不毛な10分を参加者に強制的に撒き散らしている

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ではその抜け道の見つけ方。ひとつは、「65点主義」の発動。言い換えると「合格最低点」を見極めるということ。その仕事、その作業の65点水準の仕上げ方を探ること。

例えば資料作りで「こんなに華美なパワポでなくてもいいんじゃないか?」「画像とかグラフとか、そもそも要るのかしら?」「ここは、わざわざ資料にしなくても口頭で説明できるかも」などと、あらためて問い直すことです。

満点にこだわらず、65点主義で緩く構えておく

会社というもの、「65点主義」ならぬ「100点満点主義」が跋扈(ばっこ)しています。とにかく、寝食を忘れるくらい、満点を取るまで諦めないという空気。それが、大げさに言えば、戦後の日本企業を急成長させたと思うのです。

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ただ私が思うのは、そもそも私(たち)には、会社員以外の予定がある、18時16分の丸ノ内線に乗るという現実があることに加えて、設定した100点満点は本当に満点なのか、疑わしくなる場合がある、ということです。

自分では100点満点だと思っていた準備も、例えば打合せやプレゼンで提出したところ、全然違っていた、50点にも満たなかったということが少なくない。仕事は生き物ですから、正解=満点は日々刻々と変わっていきます。ビジネスの正解はビジネスの状況が規定する。

そういう意味からも、自分が(もしくは周囲が)設定した満点にこだわる必要はありません。満点の準備でヘロヘロになって打合せに臨むよりも、むしろ65点で緩く構えておいて、映画を観に行ったリフレッシュした頭で、いきいきとした当意即妙な対応でやり過ごすことが、私の好みですし、今風だとも思います。

抜け道の見つけ方のふたつ目は、「明日に回せる仕事の見極め」です。

「100点満点主義」に加えて「今日出来ることは今日するべき主義」が跋扈しているのが会社です。確かに、今日出来ることは今日のうちに全部してしまうと気持ちいい。その後に飲むビールはうまい。でも──その乾杯は21時ごろになっているんですよね。

私が提唱したいのは、「明日出来ることは今日しない主義」です。これにも先ほどと同じような理由があって、明日になると、その仕事についての満点基準が変わっている可能性がある。という意味からも、あまり先へ先へと進め過ぎない方がいい。

以上が、午後の使い方です。読んでいるうちに、いかに仕事から逃げるかみたいな話に感じた方もいるかもしれませんが、違います。「無駄なく・無理なく・機嫌よく」仕事をするための方法を編み出すことから決して逃げず、仕事の抜け道を探すことに、めちゃくちゃ頭を使うというポリシーなのです。

スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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