「後輩を演じられる」新人が配属後にうまくいく スージー鈴木さんが「新人たち」へ伝えたいこと

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先輩との接し方がわからないと悩む新人さんにおすすめしたいこと、それは……(写真:y.uemura/PIXTA)
5月に入り現場へ配属され、先輩や上司との接し方に悩んでいるという方多いのではないでしょうか? そんな人にスージーさんは、「新人は、心の中でペロッと舌を出しながら、半笑いで「後輩」を演じるのがいい」と言います。その真意とは?
55歳を機に博報堂を退職した音楽評論家のスージー鈴木さん。激務で知られる広告業界で働きながら、10を超える著作を発表。その〝二刀流〟を可能にした仕事術とは? 同氏の新著『幸福な退職―「その日」に向けた気持ちいい仕事術―』より一部抜粋し再構成のうえお届けします。
前回:ダメ上司は「会議10分遅刻」の損失を知らなすぎる

「後輩プレイ」を身につける

ここでは、主に(大)企業に勤める若い読者の方々に対して、メッセージを送りたいと思います。

会社員時代、自分の部門に新入社員が配属されたら、私は必ず開口一番、「可愛がられることが大切だ」と教えてきました。意味としては、可愛がられると、上司や周囲からアドバイスやサポートを受けることが多くなり、その結果、成長が早くなる、という考えで「可愛がられなさい」と言い続けてきたのです。

ただ、今から考えると、「可愛がられろ」という教えは、新人からしてみれば、下手をすると「ニコニコしてろ」「バカのふりをしろ」「自我を殺せ」という意味に聞こえたかもしれません。だとしたら私は、罪なことを言い続けていたものです。

もう少し、具体的に分かりやすく伝えるべきでした──「後輩プレイをしろ」と。

「後輩プレイ」という考えも、ある意味では「ニコニコしてろ」「バカのふりをしろ」ということにつながるのですが、でも、たかが「プレイ」なんだから、決して自我までは殺しちゃいけないというニュアンスも込められています。

ここで書いていることのベースには、「幸福な退職」に向けて、自らの社会的価値をひとつ(会社員、その中でも後輩、新人……)に規定するなという考え方があります。

この複雑で不透明な時代、社会的価値を会社員だけに規定して、その規定にがんじがらめになるなよ、むしろ多面的な社会的価値を、状況や課題に応じて、まるで服を着替えるように華麗に使い分ければいいじゃないか、という考え方。

さらに言えば、複数の社会的価値の根っこにある自我、つまり「私はどう生きたいのか」というポリシーまでは、そう簡単に侵食させない。仮に、会社員という社会的価値のワン・オブ・ゼムに、万が一失格の烙印を押されようが、決して自我を揺るがせたりしない。そういう生き方が、今の時代には大切だと思うのです。

話を戻せば、新人は、心の中でペロッと舌を出しながら、半笑いで「後輩」を演じればいい。

なぜか。理由のひとつ目は、先に述べたように、たとえプレイだったとしても「可愛い後輩」には、「可愛くない後輩」よりも、周囲からアドバイスやサポートをもらえる確率や頻度が高まるから。

理由のふたつ目は(これはひとつ目の理由の背景なのですが)、後輩を預かる上司の側も、実は「上司プレイ」をしているからです。

後輩に対して、気遣わなきゃいけない。教えなきゃいけない。ちょっとはキツいことも言わねば。逆に言えば「可愛くない後輩」は、ビシッと厳しくしつけなければ……。

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