「後輩を演じられる」新人が配属後にうまくいく スージー鈴木さんが「新人たち」へ伝えたいこと

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自分の個性、趣味、関心事……自我を顕示する生き方を選んだのであれば、目の前の仕事に自己顕示欲をまぶさない理由などありません。「会社の中で自我を見せるなんて嫌だ」という人は多分、会社の外でもうまく自我を見せられない人ではないでしょうか。

──「1つの仕事にスプーン1杯の自己顕示欲を」。

「スプーン1杯で驚きの白さに」とは、コンパクト洗剤の元祖にして、1980年代を代表するヒット商品になった花王アタックの広告コピーなのですが、それになぞらえて言えば、「スプーン1杯の自己顕示欲で、会社員生活が驚きの面白さに」。

ぜひ明日から、いや今すぐ試してみてください。

先輩は使うもの

あの、右も左も分からなかった新人くんも、数年も経つと、だんだん仕事が出来るようになっていきます。また「スプーン1杯の自己顕示欲」を心掛けていると、「なかなかオモロイやっちゃ」との評判も流れ始めて、仕事が楽しくなってきます。

そうすると、多くの若者は、こう思い始めるのです──「俺1人で出来るわ。あの先輩、要らんわ」。

結果、先輩と後輩がぶつかって、最悪の場合、先輩か後輩のどちらかがチームから弾き飛ばされたり……。

私は、このような一種の「覇権争い」を避けてきました。もちろん、まったく使えない先輩(もしくは後輩)だったとしたら、弾き飛ばされてもしょうがないかもしれませんが、多くの場合、いい関係が作れる可能性はゼロではないし、そもそも「覇権争い」には、異常なストレスがかかるのです。それも双方に。

では、先輩と後輩の「いい関係」とは何か。先に書いたような、ちょっと自意識が芽生えてきた段階で、私が自分に言い聞かせていたのは、「先輩は使うものだ」という考え方です。

「使う」というと、「アゴで使う」という感じで、上から目線でこき使うという意味に捉えられそうですが、決してそうではなく、「自分の仕事を、先輩にしか出来ない領域で、サポートをしてもらう」というイメージです。

具体的に言えば、得意先の対面(といめん=直接の仕事相手の意)は自分で仕切ることが出来るけれど、対面の上司が出てきたときにプレゼンを代行してもらうとか、進めたい社内プロジェクトの承認を役員に取り付けてもらうとか、プロジェクトの予算確保のために経理に対して動いてもらうとか。もっと言えば、飲み会で奢ってもらうとか。

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