ダメ上司は「会議10分遅刻」の損失を知らなすぎる 不毛な10分を参加者に強制的に撒き散らしている

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中身がぐっと「濃縮」された、いい会議のために憶えておくべき法則とは(写真: EKAKI/PIXTA)
55歳を機に博報堂を退職した音楽評論家のスージー鈴木さん。激務で知られる広告業界で働きながら、10を超える著作を発表。その“二刀流”を可能にした仕事術とは? 同氏の新著『幸福な退職 「その日」に向けた気持ちいい仕事術』より一部抜粋し再構成のうえ、本稿では定時に退社するための時間「濃縮」法をお届けします。

2つの「5×10の法則」

勤務時間の「濃縮」に対する最大の敵は、会議です。

会議や打合せを「時間論」の観点から見た場合、「開始時間が遅れる」「結論が出るまでに、どれくらい時間がかかるかが分からない」という2点において、非常にやっかいな存在です。

そこで、会議参加者に向けて、徹底しておきたい考え方があります。それが「5×10の法則」。これ、実はオリジナルで、会社員時代に私自身が編み出したものなのですが。

中身がぐっと「濃縮」された、いい会議のために憶えておくべき、スージー鈴木作「5×10の法則」。この法則にはネガティブ版とポジティブ版の2つがあります。

ネガティブ版は、先の「開始時間が遅れる」という問題に対応したもの。要するに、遅刻を防止するためのもの。

会議の参加者が5人で、その中の1人が遅れた時間が10分だった場合の「5×10の法則」。5人のうちの1人が10分遅刻して、会議が定時の10分後から始まったとすると、遅刻が生んだ損失は、その人自身も含めて5人×10分=50分だという計算。

遅刻における損失は、ついつい自分の10分だけだと、無意識に矮小化している人が多いのですが、あなたの10分遅刻は、手持ち無沙汰で何も出来ない不毛な10分を、あなた以外の他の参加者にも、強制的に撒き散らしているのです。

特に10年以上前の広告業界の会議においては、遅刻が付き物でした。それも会議のキーパーソン──具体的には、重鎮のクリエイティブディレクターや大物営業部長など、「最終的にイエスorノー、ゴーorストップを判断する人」が遅れてくるのだから、話になりません。

「重鎮や大物だから遅れていいんだ。重鎮や大物だから時間通りに来ていると威厳が損なわれるんだ」という、当時の広告業界に渦巻いていた謎の観念。私が会社生活を懸けて、ずっと戦い続けた相手です。

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