「30代で部長に大抜擢」若手が離れたまさかの顛末 抜擢せず組織を活性化「ボスマネジメント」とは

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「抜擢人事」が成功するためのポイントとは(写真:ilixe48/PIXTA)

人材育成や組織活性化の一環として、若手の抜擢が試みられることが増えている。中小企業やスタートアップ企業のみならず、大企業でも、32歳の部長が50代、40代の課長の上司になったり、50代が中心の役員の中に、30代前半の若手が起用されることがある。

しかし、このような「抜擢人事」は、必ずしも成功に結びつかないことがある。本コラムでは、会社が良かれと抜擢した若手上司が、自信に満ちてリーダーシップを発揮しようと試みたものの、年上の部下との関係が予想以上に困難を極め、その結果若手社員も離れていったという驚きの事実を明らかにする。

さらに、「抜擢人事」が成功するためのポイントや、抜擢せずに組織を活性化させる方法(ボスマネジメント)も紹介する。

大企業の部長に抜擢された32歳男性の話

部長に抜擢された32歳の男性は、昇進当初、ベテラン社員からも期待されていた。前の部長も、こう発言している。

「私では組織を変えるのは難しい。若い人が部長となって組織を引っ張っていくことは、会社にとってもいいこと」

新部長を全面的にバックアップすると言っていた。それを受けて本人も、

「必ず組織を変えてみせます」

と意欲を示していた。ところが抜擢されてすぐに、この気持ちが空回りすることになる。

営業組織の構成は、次のとおりだ。

課長は、前部長(51歳)を含め、46歳と44歳の3人。担当者は14人で、50代が1人。40代が5人。30代が6人で、20代が2人だった。

いくら生え抜きとはいえ、新部長(32歳)は下から4番目の若さであった。ずば抜けた営業成績で、リーダーシップもあり、お客様からの評価も高かったので、将来の幹部候補として大抜擢された。

しかし、彼が部長になってから、次第に組織の雰囲気が悪くなっていったのだ。一番の理由は、職務分掌を大幅に変更したことだ。部長や課長の責任、権限を整理し、部長、課長、担当者の役割に線引きをしたのだ。このことで、前部長に反感を買った。

「自分に権力を集中させたいのか? ベテラン社員の意見はもっと聞かないと!」

ほか2人の課長や、ベテラン担当者4人からも反発された。

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