「30代で部長に大抜擢」若手が離れたまさかの顛末 抜擢せず組織を活性化「ボスマネジメント」とは
入社当時から恩師として慕ってきた前部長を、自分の「部下」として扱った。この態度が極端すぎたのだろう。組織を大きく変えるために、若手中心でアイデアを出そうとした姿勢も反発を招いた。
この32歳の部長は、次第にリーダーシップを発揮できなくなり、方針転換を余儀なくされた。当初、支持していた若手社員も心が離れていった。
なぜ、こうなってしまったのか?
抜擢人事3つのメリット
まずは、抜擢人事を考えるうえで、そのメリットとデメリットについて整理していこう。
最初に、抜擢人事のメリットである。3つのメリットを挙げたい。
・若手のキャリア形成が促進される
・組織のイノベーションを促進する
1つ目のメリットは、若手の力を活用して、組織を活性化させることだ。
一般論だが、若手のほうが新しい技術やトレンドに対応しやすく、柔軟な発想を持っている。このため、既存のやり方にとらわれず、新しい取り組みや戦略を進めることが容易になるだろう。
2つ目のメリットは、若手のキャリア形成と人材育成が促進されることだ。
抜擢人事を通じて有望な若手社員にチャンスを与えることで、彼らのキャリア形成や自己成長を促すことができる。
3つ目のメリットは、組織のイノベーションを促進することだ。
新たな市場や製品、サービスの開発に積極的な若手なら、ベテランよりもリスクをとる意欲も持っている。過去の延長線上で物事を考えず、新奇性の高いアイデアで組織改革を促すことができる。
次に、抜擢人事のデメリットを見ていこう。デメリットについては、2つ挙げたい。
・抜擢された若手が疲弊することがある
1つ目のデメリットは、上下関係や年功序列が乱れることだ。
抜擢人事により若手が急速に昇進することで、上下関係や年功序列が乱れる。
32歳の部長の例は、典型的だ。元上司や、年上の部下がいる場合、若手部長がリーダーシップを発揮しようとすると、多くの場合、一筋縄ではいかない。また、同僚たちからの反発や嫉妬が生じることも考えられる。関係性やそれぞれの性格、価値観にもよるが、理屈ではうまくいかないことも多い。
2つ目のデメリットは、抜擢された若手が過労やストレスで疲弊することがある。
抜擢された若手は経験不足により、問題解決や意思決定に苦慮することも多い。周りからの妬みなどがあれば、(年上の)部下や同僚からサポートが得られず孤立することもある。
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