「30代で部長に大抜擢」若手が離れたまさかの顛末 抜擢せず組織を活性化「ボスマネジメント」とは
「わざわざそんなことしなくても、若い君が自分で考えたらいい」
とベテランは言うかもしれない。しかし、その言葉を鵜呑みにしてはいけないのだ。「それならば」と言って、勝手に進めると、
「そんな話は聞いてない」「一言相談してくれたらいいのに」
と、愚痴を言われる可能性もある。意思決定した内容に問題があるのではなく、そのプロセスが理解されないのだ。
だから最初のうちは積極的にチームミーティングを開催しよう。そのような機会で相互理解に務めるのだ。十分に信頼されるようになったら、
「もう大丈夫だ。これからは自分で決めたらいい」
と言われるようになる。冒頭のケースのように、結果は同じであったとしても、相談もなく、いきなり方針転換するのはリスクが大きすぎるのである。
抜擢人事を機能させるには適切な評価制度が必要
(3)適切な評価・報酬制度
抜擢人事がうまく機能するためには、適切な評価・報酬制度が整備されていることが重要だ。
若手が抜擢されることで、先輩や上司が不満を持つこともある。しかし、部長が課長に変わったとしても、明確な評価基準や報酬制度があれば、組織内での不公平感や不満を軽減することができる。
また、社員が自分の努力や成果が正当に評価されると感じることで、モチベーションの維持や組織の活性化につながる。
これらのポイントを加味することで、抜擢人事は成功しやすくなるだろう。適切なサポート体制やコミュニケーション環境、評価・報酬制度を整えることが重要だ。
例えば、プロ野球の監督が変われば、選手の起用法も変わる。反発する選手やOBもいるだろうが、監督が方針を貫くことで、チームの一体感は保てるだろう。
最初の年は結果が出なくても、2年目、3年目に、監督の戦略や戦術が見事にはまり、結果を出すケースはある。
しかし日本企業においては、難しい。メンバーが新陳代謝しないからだ。
若いリーダーを抜擢し、好きなようにさせたいと会社は思っても、メンバーはほぼ固定だ。リーダーの言うことを聞かないなら仕事をさせない、とは言えない。だから組織マネジメントは理屈どおりには、うまくいかないのである。
今回の32歳部長のケースから学ぶべきことは、「理屈と尊重のバランス」である。理屈は絶対に重要だ。理屈なき組織運営は、破綻への道。誰もついてこない。
しかし新しいアプローチや制度を導入する際には、組織内の異なる世代や立場の人たちの意見や感情を尊重することが重要だ。ハッキリ書くと「十分な根回しをしろ」ということである。
年齢や社歴で、上下関係が決まる時代ではなくなった。抜擢人事でもボスマネジメントでもいい。どんなやり方でもいいが、「理屈と尊重のバランス」を考えることが大事だ。そのうえで組織をアップデートさせ続けることが、これからの時代に求められるリーダーの役割である。
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