日本人が「上司に弁当頼まれたら平気で買う」なぜ 日本と欧米における「権力」の決定的な違い
突然だが、あなたの上司が「今からコンビニでお弁当を買ってきてくれる?」と言ってきたらあなたはどうするだろうか。この答えは、あなたが「権力」をどう捉えているかを如実に表す。
筆者は経営研究者として、経営者の行動や意思決定に何が影響を与えているのかを調査している。最大の関心事は日本の文化が経営行動や意思決定にどのような影響を与えるか、ということだ。本稿では、文化の表れの1つでもある権力が組織でどのように使われているか、日本と欧米での違いを考察してみたい。
人に影響を与える「報酬」と「強制」
権力は「他人の行動を変え、影響を与える能力」を表してり、権力はほぼどの国でも会社での働き方の基盤にもなっている。
権力や権威は、「報酬」と「強制」の2つの原則に基づいている。報酬はとても簡単に他人に影響を与えることができる。報酬や給料がなければ、多くの人は朝起きて会社に行こうと思わないだろう。人々は通常はしないようなことをするとき、報酬を期待する。報酬には、給与などの金銭的なものだけでなく、承認、肯定的なフィードバック、意思決定の機会などがある。
もう1つの権力は、強制力、つまり、望まない行動に対して否定的な結果を課す権利である。強制力は報酬の反対だ。強制力は、しばしば罰と混同されるが、その主な目的は不正行為を最小限に抑えることである。いい例がスピード違反だ。会社における強制力は、明確なルールを定め、それを破った場合の結果を従業員に伝えることで発揮される。
経営者はこの2つの権力基盤ーー報酬と強制ーーに基づき、さまざまな形態の権力を使う。誰もが思いつくところでは、職務記述書(ジョブディスクリプション)、法律、契約などに基づく地位の権力である。
地位の権力とは、会社における特定の地位に付随する権限や権利だ。例えば、あるマーケティングマネジャーに部下が2人いた場合、この上司は部下に何をすべきか指示できる。仕事をしている間は、マネジャーは仕事に付随する権利を行使することができるが、終業後や仕事を辞めるとこの権力は失われる。
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