「後輩を演じられる」新人が配属後にうまくいく スージー鈴木さんが「新人たち」へ伝えたいこと

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自意識が芽生えてきたステージの若者が日々こなしているのを「現場仕事」とすれば、その「現場仕事」を後方支援したり、オーソライズしたりする「オヤジ仕事」が必ず付随するのです。そして驚くべきことに、とりわけ大企業では、「現場仕事」より「オヤジ仕事」のウエイトの方が、質量ともに大きい場合が多々ある。

「オヤジ仕事」は、その名の通り、若者には容易にこなせないもの。こなせたとしても、相当な苦労をするはずの仕事。だとしたら先輩に任せればいいのです。「オヤジ仕事」で先輩をうまく使えばいい。

ちょっとの配慮を面倒だと思ってはいけない

実は、そういう使われ方、先輩の方も案外ウェルカムだったりします。

先輩も(多分)馬鹿ではありません。「現場仕事」について、もう後輩が1人で回せることを知っています。知っているけれど、後輩1人にまるごと任せてしまうには、まだちょっと不安がよぎる。

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特に「オヤジ仕事」については、経験も人脈も足りないだろう。だとしたら、自分が一肌脱いでやるか、と考えてくれる先輩は少なくないのです(その仕事を自分の手柄にしたいという、よこしまな考えもあるかもしれませんが)。

以上のような意味で「先輩は使うもの」なのです。特に、あなたが不得手な「オヤジ仕事」は、バンバン任せましょう。ただ、です。一応先輩なので、ちょっとだけプライドに配慮してあげましょう。ちょっとだけでいいですので。

え? プライドに配慮なんて面倒くさい? 分かります。分かりますが、私の考えは、「ちょっとの配慮で、先輩がガンガン動いてくれるんなら、こんな簡単なことはないわぁ」というものです。

ちょっとの配慮を面倒だと思った結果、先輩との関係がギクシャクして、双方にストレスがかかって、あげくの果て先輩のパワーをまったく活かせない──そっちの方が面倒くさいと思いませんか?

スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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