現場で接することで、母子家庭・大卒者不在の家庭で育った自身の境遇から持っていた問題意識をより強く抱いた彼は、世の中の役に立つために医学部の受験を決断します。
「勤めていたNPOはホワイトな組織でしたので、基本的には定時で退勤ができましたし、比較的働きやすい場所でした。少しでもいい環境で医学を学びたかったので、東京大学理科III類を受験しようと考えました」
そう語る亮大さんは、自分が一橋大学時代に培った勉強法を生かし、再び参考書を読んで独学で医学部に向けた勉強を進めます。
一から数Ⅲや物理を勉強
「一般受験の準備を2020年の11月ごろから始めました。文系だったので一から数IIIや物理を勉強したのですが、試運転の感覚で受けた2021年の共通テストで80%取れたので自信になりました。ですが、次の年も同じく80%に終わり、前期の東大理IIIも、後期の千葉大医学部も落ちてしまいました」
この失敗を受けて、業務が終わった後や休みの日のまとまった勉強では限界があると感じた亮大さんは、再受験2浪となる3回目の受験で会社を正社員から業務委託扱いにして勤務日を週3回に調整しました。
その結果、2年間やってきたことが身を結びはじめ、夏には駿台や河合塾の模試で東大理IIIのB~A判定を獲得します。そして、迎えた3回目の共通テストでは94%を叩き出しました。
「今年こそいけるんじゃないかと思って、前期試験で東京大学理科III類に出願しました。しかし、共通テストは伸びたのですが、2次試験はうまくいきませんでした。合格最低点との点差も、去年の40点差から縮まらなくて、自力で越えられない独学の限界を感じました」
それでも、後期試験で千葉大学医学部に合格し、2023年から医学部生として、再び大学生に戻ることができました。
「一橋のときは呑気な文系大学生でしたが、今は社会に出たことでこれから就く医師という仕事の社会的責任の大きさも意識しています。ただそういったプレッシャーを感じながらも、今はとにかく医学を学べる喜びに浸っています」
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