「独りよがりな勉強をしていたんです。自分の中で必要なものが揃っていれば勝てると思っていましたが、相手が求めているものが何かを考慮できていませんでした。ただ教科書の言葉を全部暗記しただけだったので、記述問題にまったく対応できなかったのです。
だったら、なまじ暗記した知識がある科目よりも一から論述に対応したアウトプット中心の勉強をしたほうがいいと思って、センター試験で100点を取った日本史を捨てて、未履修だった世界史に受験科目を変更しました」
「自分はたいした人間じゃない」前期試験の失敗でそう気づいた亮大さんは、記述試験の土台が固まる秋まで模試を受けずに、コンスタントに10時間以上の勉強をこなしました。ひたすら教科書を何十周も読む。「覚える」のではなくて「理解する」。その意識のおかげで、11月の一橋大学の模試では、世界史で全国3位の得点を獲得したそうです。
この年、受けた模試はすべてA判定。センター試験も94%と抜群の成績で2次試験もリラックスして臨み、無事、1浪で一橋大学社会学部に合格しました。
学びの目的意識を作り上げた
一橋に進んでからの亮大さんは、社会学の勉強に打ち込みます。
「格差を研究したからこそ、広く世の中を見るために大手企業に行こうと思った」と語る彼は五大商社に就職し、3年弱勤めた後に医療福祉系のNPOに転職しました。
その過程で、今までの人生がすべてつながるような瞬間があったと言います。
「私は一橋大学で、『社会格差の再生産』について興味を持ち、勉強していました。その過程で、そもそも子どもの認知能力はどのように発達するのか、その機序(仕組み)の解明に強い関心を抱いていました。
その後、NPOでは多様な発達上の課題を持ったお子さんと親御さんの支援に従事していたのですが、医学的な専門性もなく彼らをエンパワーメントしようと手探りで試行錯誤を繰り返す自分に歯がゆさを感じていました。そこで、基礎医学的な見地から認知能力の発達のメカニズムを研究することで、多くの親子の力になれるのではないかと思い至ったのです」
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