「5大商社辞めて浪人」医師目指した彼の生き方 震災や自宅浪人の経験が人生に影響を与えた

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平均で8~9時間の勉強をこなし、臨んだセンター試験は88%。十分に一橋大学の合格が狙える成績を取りました。残念ながら前期試験は落ちてしまいましたが、後期試験でも小論文の出来次第で十分に合格が狙えたので、もう一度一橋大学に出願します。

「2次試験の感触が悪かったこともあり、前期の不合格は覚悟していました。悔しかったけれども、切り替えて3月12日の後期試験の準備をしていました」

しかし、ここで現役時の入試は思わぬ形で強制終了を迎えます。

震災が直撃して浪人確定

2011年3月11日。一橋大学の後期試験を前日に迎えたこの日、東日本……特に東北を大きく揺るがす歴史的大災害が起こります。全国で2万人以上、宮城県だけで1万人以上の死傷者・行方不明者を出した東日本大震災の発生でした

この震災を受けて、一橋大学は後期試験の延期を発表しましたが、のちに中止。センター試験の点数の上位者だけ繰り上がり合格となったため、大きくアドバンテージのなかった亮大さんは無試験で不合格が確定します。

その一方で、彼や彼の家族はもう受験どころではありませんでした。

「母親の運営していたスナックは市内だったので津波が来なかったのですが、とても営業が続けられる状態ではありませんでした。最初の1週間は必要な物資を集めるために走り回っていて、ホームセンターの行列に並んでなんとかコンロを手に入れたことを覚えています。1〜2週間したらある程度インフラが戻ったので、そこから1〜2カ月は店の片付けや復旧を手伝いました。当時の記憶はぼんやりしていますが、勉強どころではなかったのはたしかです」

ようやく営業が再開し、お客さんが戻りだしたのが5月。生活が成り立つようになってきたこのタイミングで、少し気持ちの整理がついて「自分の勉強の失敗を悔やんでいたので、どうしても諦めきれなかった」と親に金銭面で迷惑をかけない自宅浪人を決断します。

彼は震災からの2カ月の間で、現役時の前期試験で落ちた理由をこう分析したそうです。

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