仕事ができない人ほど漫然とメモ取りがちな理由 効果が見えないやり方に甘んじている人多数

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では、その次は?

どうすればいいかわからない人がほとんどでは?

次のミーティングが始まる。急ぎの仕事が飛び込んできた。子どもがワンワン泣いて呼んでいる……。

これではメモの意味を完全に理解したり、その使い途を考えたりする時間は十分にありません。キャプチャーした瞬間のメモは手を加えていない原材料のようなもので、本当に価値ある資産に変えるには、もう少し精錬する必要があります。

メモが時間を超えて将来役に立つかどうかは、「見つけやすさ」にかかっています。つまり、中身がどれだけ容易に分かるか、すぐ役立つポイントにどれだけ簡単にアクセスできるか。

見つけやすさ(ディスカバラビリティ)とは情報学の考えで、「ファイル、データベース、そのほかの情報システムにおける検索で、コンテンツや情報の見つけやすさ」とされています。

メモのディスカバラビリティを高めるには、学生時代にやっていたシンプルな習慣を用いましょう。そう、いちばん大切な部分をハイライトすることです。作業はメモの要点を太字にするだけ。

非常に多忙で気の短い重要人物に話をするときはどうしますか? 要点と具体的な行動だけを抽出(ディスティル)しますね。

上司にメールを送るときは、まず要点から。すぐに返事の欲しい急ぎの質問は、メールの冒頭に持ってくる。忙しい組織の経営陣にプレゼンを行うときは、何時間もダラダラと説明せず、即、本題に入るのがいいのと同じことです。

やり方は簡単。メモの要点をハイライトしたあと、そのまたハイライトの要点をハイライトする……ということをくり返し、メモの本質を複数の「層(レイヤー)」に分けて抽出していきます。

それぞれのレイヤーには異なる形式(フォーマット)を使用して、ひと目で見分けがつくようにします。この一連の動作を、わたしは「プログレッシブ・サマライゼーション(進化版・要約法)」と呼んでいます。

未来の自分に情報を渡すためにメモする

ポイントは厳選すること。2、3行、あるいはたったの1行かもしれません。それこそが徹底的に抽出された、見つけやすいメモの姿で、ほとんどの場合はここまで抽出すれば十分です。

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