仕事ができない人ほど漫然とメモ取りがちな理由 効果が見えないやり方に甘んじている人多数

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備忘録は、教養人が世の中と交流するための扉でした。彼らはさまざまな情報源から知識を結びつけ、自分の考えを刺激しました。

過去何世紀にもわたり、備忘録を必要とするのは、著述家、政治家、哲学者、科学者などの知的エリートに限られていました。時代は変わって、現代社会でも、備忘録はあらゆる人の役に立ちます。

今では、情報の管理能力は万人の必需品と言えるでしょう。こんにちの労働人口はその半数以上が「知的労働者(ナレッジ・ワーカー)」とされています。

彼らにとってもっとも価値ある資産は「知識」であり、また、どんな職業でも、アイデアを思いつくこと、問題を解決すること、他者と効率的にコミュニケーションをはかることを求められます。ごくたまにではなく、つねに、確実に、情報を処理しなければなりません。

多くの人は学生時代にノートの取り方を覚えます。「ここはテストに出るからノートを取りなさい」と先生に言われたのが最初かもしれません。

しかし、テストが終わればノートを見直すことは二度とないのではないでしょうか。これではせっかく学んだことも使い捨てと同じ。

集めた情報をレゴのように組み立てる

社会へ出ると、ノートに書くメモに求められるものは一変します。

・何をメモすればいいのかさっぱりわからなくなる
・いつどうやってメモを使うのか誰も教えてくれない
・テストがいつどんな形で始まるのかわからない
・いつメモを参照してもカンニングにならない。ただし、メモを取っていればの話
・メモしたことをたんにくり返すだけでなく、それをもとにした行動を期待される

これは学校で学んだノートの取り方とは別物です。社会で通用する今まさに必要なメモとは、「知識の構成要素(ビルディング・ブロック)――自分自身の視点を通して集められ、頭の外に保存された、情報の単位」です。

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