「昔から人の前に出てしゃべって笑いをとるのが大好きな人間でした」。そう言う平田さんは、大学時代に「超」がつく人気テレビ番組『ラブアタック!』のオーディションに参加する。
『ラブアタック!』は、美人女子大生に告白できるアタック権をめぐって、毎回5人の男子大学生アタッカーがいろいろなゲームで競い合うバラエティ番組だ。平田さんは大学生アタッカーとして、当時過去最多に近い27回の番組出演を果たした。
そんな笑いのセミプロとも言える平田さん、入社面接でも独自のユーモアが功を奏したようだ。「会社に入った後、入社面接を担当していただいた方から『ほかに頭のええやつはおったけど、あんたがいちばんおもしろかった。あんたが来てくれるのが楽しみやった。笑いとイベント性で日本旅行に貢献してくれ』と言われました。今でもそのときのことに感謝して、日本旅行で働いています」
入社後平田さんは兵庫県伊丹支店に配属され、9年間営業に従事。会社に入ってからも時折テレビ番組に出演しながら、ご機嫌な会社員生活を送っていた。
「適材不適所」への異動
しかし、人生はそんなに甘くない。入社10年目にして転勤した先は、日本旅行の海外旅行ブランド「MACH(マッハ)」を取り扱う部門。海外ツアーの催行・管理、ホテルの予約など、支店や代理店から入ってきた予約を一括して書面にまとめ、現地にファックスで流すという、ゴリゴリの事務処理中心部門だった。
「しゃべるのは得意やけど、パソコンの前に座ってキーボードを打つという自分がいちばん不得意な仕事をやっていました。年下の後輩が1時間で終わらせる仕事を、自分は2時間3時間かかっても終わらせられない。振り返れば、この時代が人生における氷河期で、ホンマに辛くて、何度も会社を辞めたいと思いました」
「適材適所」とは真逆の「適材不適所」に置かれながら、平田さんはめげなかった。「誰でもどん底に突き落とされるときはあります。そんなとき僕は『ナニクソー! 必ず挽回してやろう!』と思ってやってきました」
9年間という苦悩の時期を乗り越え、ついに奈落の底から這い上がった平田さんは反転攻勢に打って出る。
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