「9浪で医学部合格」難病に離職、彼の長い苦しみ 職場仮面浪人などを経たがっそーさんに聞く

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9年の浪人生活を終えたがっそーさん。さすがに、9年という長期間を戦い抜く過程では何度もめげそうになったこともあったそうです。どうしてここまで頑張れたのか理由を尋ねてみたところ、「後悔を残したくなかった」という答えが返ってきました。

「精一杯頑張れなくて、医学部に受からなかった未来を想像していたんです。そのまま会社に居続けても未来はなかったですし、一度やめてしまって経歴に穴もあるから、いい会社に転職することもできません。そんな未来を回避したかったから頑張れました」

そんな彼に、それでも浪人して良かったことを聞くと、「自信を持てるようになった」と語ってくれました。

「高校時代は周囲に仲間がいるから気持ちを強く保てていましたが、1人で受験勉強をするようになってからは医学部なんて不可能だと内心思っていました。でも、不可能だと思っていたことを超えられたから、自分はやればできると思えるようになったのです

そうした成功体験と、基礎を積み重ねた経験は、現在の医学部の勉強にも生きていると言います。

基礎の積み重ねが自分を救ってくれる

かつて高校時代にワースト3の成績だった青年は今、学年でトップ3の成績を取ることができていました。それもまた「自分が浪人時代にやってきた、基礎を身につけようとした意識は間違っていなかった」と自信を深めることになったそうです。

4月から28歳の新2年生になったがっそーさん。最後に、かつての自分と似た境遇の人々へのメッセージをいただきました。

「今、志望校を目指して勉強を頑張っている方には、基礎を積み重ねておけば、応用を問われても生かすことができるし、緊張してもいきなり頭が真っ白にならなくなるので、つらくてもコツコツ目の前のことをこなすことをお勧めします」

途中遠回りもあったものの、地道に勉強を重ねて合格を掴み取った苦労人の言葉には、人間としての深みが宿っていました。

濱井 正吾 教育系ライター

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はまい しょうご / Shogo Hamai

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでTwitterやYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 高校時代にいじめを受けたことから、いじめっ子を社会的に偉くなって見返したいと思い、在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はカルペ・ディエム所属。

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