「9浪で医学部合格」難病に離職、彼の長い苦しみ 職場仮面浪人などを経たがっそーさんに聞く

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「勉強に集中できなくなった4浪目からの数年の期間に、ダメだった理由をすごく考えていたのですが、基礎をきちんとやっていなかったからではないかと思いあたったのです。それから、簡単な英単語帳を見てみるとやはり、全然できないことがわかりました。思えば、今まで周囲が自分よりできる人ばかりの環境にいたので、焦って同じレベルの参考書をやろうとしていて、知識が定着しているのを確かめずに空回りしていたのです」

勉強に対する意識も、10代後半〜20代前半の時とは大きく変わったと言います。

「社会人を経験して優先順位を考える習慣ができたこともあって、目先の利益を追い求めず、時間にとらわれずに、今必要なことを見極めて実力を上げていくことを考えました」

急に終わった長い長い浪人生活

8浪目には第1回共通テストも受験し、結果は500/900点。この結果を見て、がっそーさんは受験勉強に専念することを決意。戦略を練り、しっかり基礎固めすることにしました。

9浪目の4月末、がっそーさんは最終勤務を終えました (※6月までは有休消化)。いよいよ26歳にして、8年ぶりに受験1本の日々が始まったのです。

「半期で通える予備校を探して、四谷学院に入りました。9時に予備校に行って、夜21時くらいまで勉強する生活を続けました」

最初から1年半かける計画で、10浪目に合格すればいいと思い、入念に基礎を固め続けたがっそーさん。その甲斐あって、この年の共通テストは630/900点。前年からの成長を確かに確認し、着実に翌年に向けての準備を進めていました。

この年は前期だけ、模試でD判定だった国公立大学に出願するも、残念ながら90点差で不合格。切り替えて、10浪目の年に向けて勉強をしていた彼にここで思いもよらない吉報が届きます。

「実はこの年、チューターと相談して、奨学金制度のある私立大学を滑り止めで受けていました。そこも不合格だったのですが、3月の最終週にいきなり補欠合格の電話がかかってきたのです。パニックになりました。親に学費の相談をして金銭の支援をしてもらえることを確認してから、次の日の朝に電話をかけて『行きます!』と言いました。もう信じられなくて、狂喜乱舞しました」

幕切れはいつもあっけないもの。9年に及ぶ受験生活は、突然の報せによって、終わりを迎えたのです。

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